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“オン”と“メン”と“受け”

d0248641_1373489.jpg トーションコイル部からの曲げフックではなく、丸フックの製作です。

反対側は引きバネでいう、ロングUフックになっています。

d0248641_1375583.jpg 要するにまずNCマシンで、両側ロングUフックで作り込みます。

そして矢印の部分を切断します。その切断要領をご紹介します。
d0248641_1381342.jpg いつもならばエキセンの刃はエキセンと平行になるのが多いのですが、今回は製品の形状故に90°ひねって直角に取り付けます。

左矢印の当てを六角ボルトで調整します。刃に対して製品が直角になるように、セットするための目印(右矢印)テープを貼ります。
d0248641_1382485.jpg このまま切断は出来ませんが、こういうふうに置きます。左矢印に部に隙間が出来てはならないのと、右矢印の目印にピッタリと合うようにセットします。
d0248641_1384041.jpg 別角度からです。
d0248641_1385483.jpg 当然、そのままではエキセンは回せないので、指で保持してあげます。

ここでこの押さえ方が、弱くても強くてもダメということになってきます。究極ずれることなき程度に限りなく弱く、という表現になってしまいます。

この世界の作業の基本は大概こういうことなのです。
あとは静かにエキセンを回すだけです。
d0248641_1391211.jpg パチン!という感じで切れたというより折れたというのが、いい感じです。

折れたという感じが大事で、製品の切り口のバリの大小や、刃の寿命に大きく影響します。

切るのではなく折るのです。ここをよく覚えておいてください。
折るようなフィーリングを得るためには、刃の“オン”と“メン”と“受け”の3つによって実現します。
黄色のテープの部分が“受け”の役目を果たしています。

ズバリ切断作業の基本は“オン”と“メン”と“受け”の3つなのです。
d0248641_1392549.jpg 他の製品への応用です。曲げ部超際切りです。
d0248641_1393460.jpg 何故にこのような作業が存在するのかというのは、NCマシンにて巻きはじめの際曲げが非常に困難なことがあげられます。

もし挑戦して出来たとしても、ツールへの応力が大きくかかり、破損する危険性が大きく考えられます。
このため高額なツールを潰さないためにも、こういう技術や作業が未だに存在しているのです。

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by wiretec | 2011-09-29 11:59 | 熟練要領

めがね

d0248641_146416.jpg 今回は製品名「フィンガーガード」なるものを作ります。

画像手前が完成品です。あくまで小ロット生産のため、半手作りとなります。

左奥の形まではNC機で作ります。さぁ、ここからが手作業の腕の見せ所!左右対称に注意を払いながら進めていきます。

でわでわ、よろしくお願いいたします。
d0248641_1465719.jpg おなじみの手作業用自作ベンダーです。

他の製品に使いまわしのできるものもあれば、オリジナルのものもあり管理するのが大変です。これは弟子の仕事のひとつになっています。

大概は番号の組み合わせで管理されています。
d0248641_147636.jpg それでは始めの直角曲げに入っていきます。

手作業の場合は矢印の箇所のように、ピッタリと垂直に線材をセットするなどが基本中の基本になっています。

ここを疎かにすると製品にバラツキがでてしまうのは、お解りいただけると思います。

この部分は画像から解るように、大変スペース的に狭い場所で曲げが2回入ります。ベンダーも自ずと細いものになり強度的に不利なことから、注意しながら進めていきます。

d0248641_1471798.jpg このセット時の形を目に焼き付けることにより、流れ作業中の不良率が激減します。

もちろん指の感触なども総動員します。
d0248641_1472938.jpg 曲げに入りますが、ちょうど良いスピードがやはり存在しまして、ゆっくり過ぎても早すぎても曲げの精度に影響します。これは身体で数をこなして覚えるほかはありません。

左手はしっかり製品を保持します。
d0248641_1474171.jpg バッチリ直角に曲がりました。

図面ではR1指定なので、殆ど折り曲げた感じです。強度的にはもう少しアールを持たせたほうが有利と思います。
d0248641_1475012.jpg 次は反対側に移ります。こちら側はNC機性能上、最初側より曲げが一か所少なくなっています。

ベンダー番号も変わっています。

まずは広いスペースでの直角曲げですが、重なった下側の材料を加工します。

ここでもしっかり当てにあたっているか、手前にお辞儀していないかを確認しながらの作業になります。

d0248641_1475834.jpg 画像では左手を使っていませんが、保持することを忘れてはいけません。
d0248641_14871.jpg 先ほどの反対側と同じ狭い部分での曲げです。

ここでもベンダーが3種類目に変わっています。

d0248641_1481656.jpg 狭い箇所での曲げ作業は左手のしっかり保持は絶対です。
d0248641_1482345.jpg 曲げ完了です。

常識ですがスプリングバックを含め直角以上に曲げていることがよく解ります。

こういう鋭角な曲げダイスは、へたっていないか常時確認を怠ってはいけません。
d0248641_1483097.jpg 直角曲げ工程全終了です。
d0248641_148391.jpg 次はこの製品の特徴でもある目がね部分の加工になります。

コイル加工になりますので、製品にかなりの応力がかかるため今までの加工に変形なきよう、ここでいったん熱処理を施します。

熱処理後は酸化被膜ができて青っぽくなるのですが、ここではこのブログの取材のため熱処理なしで製作していきます。ということで以後、すべて生加工でお伝えします。
d0248641_14144798.jpg ベンダーがまた変わりました。

ここでは曲げというよりも4分の3周のコイリングになります。

長くそびえているものが、コイリングで言うところの芯金にあたります。

d0248641_141501.jpg 治具を差し込み左に回していきます。後ろの材料のほうが上に出ていますので、当然接触するわけですが最小限に留まるよう留意します。ここでの接触変形をゼロにするためにも、先ほどの熱処理が効いてきます。

何度も申し上げますが、左手はしっかり製品をベンダーに押さえつけています。

d0248641_1415999.jpg 画像では見えませんが治具の下には材料があたるピンが出ています。このピンの取り付けがコイリングの出来栄えを大きく左右します。
d0248641_14151911.jpg 巻き終了です。何故か左に回したのにコイリングの世界では、右巻きになっています。このことについては深く考えないようにしましょう。
d0248641_14153181.jpg この狭いスペースの中に直角曲げ2か所とコイリング4分の3巻きとカットと歪取りの5工程が含まれています。

要するに随所に職人技が存在しているわけです。大変見た目では解りにくい(単価に反映しずらい)営業部としては辛いところです。
d0248641_14154079.jpg 反対側のコイリングです。ベンダー番号は変わっています。

同じような加工内容でも左右によって、ぜんぜんベンダーの型が変わってしまうのはごく普通のことなのです。
d0248641_14154946.jpg 加工方法は先ほどと方向が変わるだけで全く同じです。
d0248641_14155838.jpg 巻き終わりの角度だけはあくまで勘なのですがピッタリ合わせます。
d0248641_1416742.jpg しっかり左右対称のメガネが出来あがりました。

実際に曲げ作業も慎重さを求められるのは当たり前ですが、本当はこれらのベンダー(型)を作り管理するほうが数段難しいということです。

完全に一から型を作るとなると相当時間がかかってしまいますので、いかに現存するものを潰さず使いまわすかというところが仙人技術なのです。
d0248641_14161677.jpg カット工程にはもちろん食い切りです。両サイドが削られてスリムになっていますが、こういう狭いところでの切断にはちょうどいいわけです。

両サイドを削っている意味にはもう一つありまして、どうしても刃の端で切ることが多いと折れてしまうのです。

欠けた部分のところまで削って削ってしていると、こういった細長い食い切りが出来てしまうわけです。
d0248641_14162468.jpg 素晴らしい切れ味です。ニッパーではこのように簡単にはいきません。
d0248641_14163258.jpg 反対側でも食い切りが大活躍!ニッパーでは狭い場所では刃先の切断となり、切る力もぜんぜん入りません。

切るというより折る感覚で切断しています。
d0248641_14164227.jpg ほとんど出来あがりに近づいてきました。左右対称もバッチリです。
d0248641_14165149.jpg 最後の工程に入りました。

コイリング工程にて必ずと言ってよいほど、歪や捻じれ倒れがコイル部に出てしまいます。

そののままでも使えないことはないのですが、お客様に納品となると職人気質が許しません。

まずこのように、しっかりとした曲げダイスに差し込みます。
d0248641_1417067.jpg ここで登場するのがヤットコです。

これで挟みながら歪を修正してやります。ラジオペンチではやはりダメですね。
d0248641_1417939.jpg 歪は必ずしも一か所とは限らず、捻じりながら曲がっていることもあります。
d0248641_14171786.jpg 修正完了です。一番最初のNC機で材料を線台に載せることから始まれば、いったい何工程あるのでしょうか。

ここではそんな職人の手間と心意気を、少しでも皆様にお伝えできればと思います。

そしてどうしても単価が高くなる傾向にあるこの手の製品を、御理解いただけたらと伏せてお願い申し上げます。
d0248641_1484819.jpg あとは品質検査部で厳しい評価を受け、出荷となります。


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by wiretec | 2011-09-13 14:08 | 仙人技


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