カテゴリ:仙人技( 6 )

渾身のいってらっしゃい!

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  前回納品した、インコネルX750引きバネが過酷なテストを見事パスしました。\(^o^)/本日、某有名レース場に直送されます。

時速300km以上で走るレーシングカーのマフラー部分に取り付けられ、とんでもない熱と振動と衝撃を耐え抜く富士発条製バネです。

NCマシンで半分製作し、あとは職人が丹精に一つずつ心と気質をこめて微調整します。そのあとの熱処理にいたっては732℃16時間と普通のバネからするとかけはなれた、手間がかかります。

荷重調整にしましても、産みの親の職人としては、バネの基本であるプラスマイナス10%で可能なものを、一個一個試験機にかけては測定しながらプラスマイナス5%になるよう最終調整して送り出します。

もうここまで来ると親心そのものです。お得意先様からは、くれぐれも厳重にオフレコ扱いにされていますが、我子の活躍ぶりをロンドン五輪に掛け合わせて是非観てみたいものです。そして自慢したい気持ちです。

必ずやこの富士発条製バネをとりつけた、マシンがレースにおいて好結果が残せます事を、心からお祈りいたしております。

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by wiretec | 2012-08-07 10:05 | 仙人技

ハス一発!

d0248641_1004718.jpg ハステロイ材6.5mmのバネです。

材料は伸直線で仙人級でないと製作できません。
また後輩に技術伝承しにくい製品の一つなのです。

材料が非常に高価で手に入りにくいのも向かい風になっています。
d0248641_100459.jpg 完全に裸線であり、まして画像でも解るとおりこの材料表面ですから、当然旋盤巻きになります。

この大きさになって来ると、SUS304、ピアノ線で相当の経験を積んでいないと、製作に携われません。

芯金を一発で選ぶセンス、後工程の芯取り作業で帳尻を合わす技術も卓越したものが要求されます。
d0248641_1011961.jpg 一つひとつの高度な技が結集して始めて、この密着に近い荷重長においても安定した荷重が得られ、またバネがヘタることは絶対にないのです。
d0248641_1011019.jpg 端面研削も終わり、品質検査を受けるところです。
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by wiretec | 2012-04-06 10:01 | 仙人技

めがね

d0248641_146416.jpg 今回は製品名「フィンガーガード」なるものを作ります。

画像手前が完成品です。あくまで小ロット生産のため、半手作りとなります。

左奥の形まではNC機で作ります。さぁ、ここからが手作業の腕の見せ所!左右対称に注意を払いながら進めていきます。

でわでわ、よろしくお願いいたします。
d0248641_1465719.jpg おなじみの手作業用自作ベンダーです。

他の製品に使いまわしのできるものもあれば、オリジナルのものもあり管理するのが大変です。これは弟子の仕事のひとつになっています。

大概は番号の組み合わせで管理されています。
d0248641_147636.jpg それでは始めの直角曲げに入っていきます。

手作業の場合は矢印の箇所のように、ピッタリと垂直に線材をセットするなどが基本中の基本になっています。

ここを疎かにすると製品にバラツキがでてしまうのは、お解りいただけると思います。

この部分は画像から解るように、大変スペース的に狭い場所で曲げが2回入ります。ベンダーも自ずと細いものになり強度的に不利なことから、注意しながら進めていきます。

d0248641_1471798.jpg このセット時の形を目に焼き付けることにより、流れ作業中の不良率が激減します。

もちろん指の感触なども総動員します。
d0248641_1472938.jpg 曲げに入りますが、ちょうど良いスピードがやはり存在しまして、ゆっくり過ぎても早すぎても曲げの精度に影響します。これは身体で数をこなして覚えるほかはありません。

左手はしっかり製品を保持します。
d0248641_1474171.jpg バッチリ直角に曲がりました。

図面ではR1指定なので、殆ど折り曲げた感じです。強度的にはもう少しアールを持たせたほうが有利と思います。
d0248641_1475012.jpg 次は反対側に移ります。こちら側はNC機性能上、最初側より曲げが一か所少なくなっています。

ベンダー番号も変わっています。

まずは広いスペースでの直角曲げですが、重なった下側の材料を加工します。

ここでもしっかり当てにあたっているか、手前にお辞儀していないかを確認しながらの作業になります。

d0248641_1475834.jpg 画像では左手を使っていませんが、保持することを忘れてはいけません。
d0248641_14871.jpg 先ほどの反対側と同じ狭い部分での曲げです。

ここでもベンダーが3種類目に変わっています。

d0248641_1481656.jpg 狭い箇所での曲げ作業は左手のしっかり保持は絶対です。
d0248641_1482345.jpg 曲げ完了です。

常識ですがスプリングバックを含め直角以上に曲げていることがよく解ります。

こういう鋭角な曲げダイスは、へたっていないか常時確認を怠ってはいけません。
d0248641_1483097.jpg 直角曲げ工程全終了です。
d0248641_148391.jpg 次はこの製品の特徴でもある目がね部分の加工になります。

コイル加工になりますので、製品にかなりの応力がかかるため今までの加工に変形なきよう、ここでいったん熱処理を施します。

熱処理後は酸化被膜ができて青っぽくなるのですが、ここではこのブログの取材のため熱処理なしで製作していきます。ということで以後、すべて生加工でお伝えします。
d0248641_14144798.jpg ベンダーがまた変わりました。

ここでは曲げというよりも4分の3周のコイリングになります。

長くそびえているものが、コイリングで言うところの芯金にあたります。

d0248641_141501.jpg 治具を差し込み左に回していきます。後ろの材料のほうが上に出ていますので、当然接触するわけですが最小限に留まるよう留意します。ここでの接触変形をゼロにするためにも、先ほどの熱処理が効いてきます。

何度も申し上げますが、左手はしっかり製品をベンダーに押さえつけています。

d0248641_1415999.jpg 画像では見えませんが治具の下には材料があたるピンが出ています。このピンの取り付けがコイリングの出来栄えを大きく左右します。
d0248641_14151911.jpg 巻き終了です。何故か左に回したのにコイリングの世界では、右巻きになっています。このことについては深く考えないようにしましょう。
d0248641_14153181.jpg この狭いスペースの中に直角曲げ2か所とコイリング4分の3巻きとカットと歪取りの5工程が含まれています。

要するに随所に職人技が存在しているわけです。大変見た目では解りにくい(単価に反映しずらい)営業部としては辛いところです。
d0248641_14154079.jpg 反対側のコイリングです。ベンダー番号は変わっています。

同じような加工内容でも左右によって、ぜんぜんベンダーの型が変わってしまうのはごく普通のことなのです。
d0248641_14154946.jpg 加工方法は先ほどと方向が変わるだけで全く同じです。
d0248641_14155838.jpg 巻き終わりの角度だけはあくまで勘なのですがピッタリ合わせます。
d0248641_1416742.jpg しっかり左右対称のメガネが出来あがりました。

実際に曲げ作業も慎重さを求められるのは当たり前ですが、本当はこれらのベンダー(型)を作り管理するほうが数段難しいということです。

完全に一から型を作るとなると相当時間がかかってしまいますので、いかに現存するものを潰さず使いまわすかというところが仙人技術なのです。
d0248641_14161677.jpg カット工程にはもちろん食い切りです。両サイドが削られてスリムになっていますが、こういう狭いところでの切断にはちょうどいいわけです。

両サイドを削っている意味にはもう一つありまして、どうしても刃の端で切ることが多いと折れてしまうのです。

欠けた部分のところまで削って削ってしていると、こういった細長い食い切りが出来てしまうわけです。
d0248641_14162468.jpg 素晴らしい切れ味です。ニッパーではこのように簡単にはいきません。
d0248641_14163258.jpg 反対側でも食い切りが大活躍!ニッパーでは狭い場所では刃先の切断となり、切る力もぜんぜん入りません。

切るというより折る感覚で切断しています。
d0248641_14164227.jpg ほとんど出来あがりに近づいてきました。左右対称もバッチリです。
d0248641_14165149.jpg 最後の工程に入りました。

コイリング工程にて必ずと言ってよいほど、歪や捻じれ倒れがコイル部に出てしまいます。

そののままでも使えないことはないのですが、お客様に納品となると職人気質が許しません。

まずこのように、しっかりとした曲げダイスに差し込みます。
d0248641_1417067.jpg ここで登場するのがヤットコです。

これで挟みながら歪を修正してやります。ラジオペンチではやはりダメですね。
d0248641_1417939.jpg 歪は必ずしも一か所とは限らず、捻じりながら曲がっていることもあります。
d0248641_14171786.jpg 修正完了です。一番最初のNC機で材料を線台に載せることから始まれば、いったい何工程あるのでしょうか。

ここではそんな職人の手間と心意気を、少しでも皆様にお伝えできればと思います。

そしてどうしても単価が高くなる傾向にあるこの手の製品を、御理解いただけたらと伏せてお願い申し上げます。
d0248641_1484819.jpg あとは品質検査部で厳しい評価を受け、出荷となります。


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by wiretec | 2011-09-13 14:08 | 仙人技

秀逸なる連続技

d0248641_912221.jpg ウルトラC級のリングです。
さてどうやって作るのかですが、まず鉛筆状の密着巻きを作ります。

製造業である以上、早く作ることができてこそが商売なので、なかなか若衆では儲けにつながらないのですが、ぜひ一日でも早く上達してほしいものです。

YOUTUBEにて巻き動画をアップしました。凡人と仙人の違いを是非観てください。

凡人編http://www.youtube.com/watch?v=2_A3bAwt_t8&feature=youtube_gdata

仙人編http://www.youtube.com/watch?v=EYY1VncpFQo
d0248641_925039.jpg SUS304線径φ0.26、外径1.5mmの密着巻きをリング状に連結して完成です。このときに内径が26mm±2mmでなければなりません。正直言ってこの±2mmに助けられています。
右前方5時方向に継ぎ目があるのが解りますでしょうか?
d0248641_16222142.jpg 道具はリューターを旋盤代わりに使います。芯金の代わりに真直線を加工したものを取り付けます。

このリューターのスイッチを足でON、OFFを繰り返し巻きスピードを調整します。ここでの回転スピードは、高速モーター故に通常の旋盤とはかけ離れた速度で回転します。

ぜひ動画をいつかはアップしたい連続高速巻きです。熟練者では一本5秒はかかりません。最後は後の画像で説明しますが、勝手にネジリ切れるので連続技を可能としています。
d0248641_16224457.jpg これが通常旋盤巻きでの材料をひっかける爪代わりになります。リューターが回転したままで、この隙間に華麗に一瞬で次の巻き始めの材料を入れれるようになるまで、相当熟練を要します。

この爪に入ったら最後、一瞬で巻きに入りますのでうっかりしていると一本没になってしまいます。また指などがワイヤーに引っ掛かりますと、当然痛~い結果が待っています。

全工程で一番気を使うところではないでしょうか。
d0248641_1623260.jpg 最後の鉛筆の先のようになる場所です。

巻き始めから連続して巻いていきますと、細くなる部分からバネ内径がしだいに小さくなっていきます。そして内径ゼロになったときにネジリ切れるのです。正確にはバネ材なので、折れています。


ここにも折れる瞬間に微妙なコツがあるのですが、数をこなして身体で覚えるしかありません。
そしてまた、リューターは回ったまま次の巻きに入っていきます。
d0248641_935100.jpg 一本出来あがりました。ほんの数秒なのでよく見ていないと、何が起こったのか解らないまま一本完成です。

少しでも気を抜くと均一な初張力を発生させることができません。「やとぎ」のようなものは使わず一切指に皮のようなものをまいて素手で巻きます。

このまま連続して延々作業は続きます。
d0248641_932578.jpg 巻き始めの部分です。当然材料の先端は前回の鉛筆の先部分でネジリ切れています。最後に長さを合わせて、切り捨てます。
連続して爪にひっかけていくため、このようにだらしない巻き始めとなります。
d0248641_934036.jpgd0248641_9583157.jpg
完璧なまでの巻き終わり先端部分です。
先ほどより紹介していますように、ネジリ切れ(折れる)ているのですが拡大しないと解りません。完全に内径ゼロとなっています。

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 最後につなげて終わりです。
・・・ってそんな簡単に終わるわけはありません!

まず連結させたときに内径26mmになるように、全長をカットします。つぎに鉛筆の先を巻き始めの内部に差し込みます。このときただ押し込んだだけでは抜けてしまうのです。

それでネジリながら差し込むのですが、何も考えずにネジリ込むと出来たリングが平面になりません。もうお解りいただけたと思いますが、平面になるように逆にネジッておいてから差し込み、これ以上入らないところでリングとしての平面がでるように作業します。

これがなかなか初心のものには出来なくて、みんな苦労するところです。
最後の最後に引っぱりテストをして抜けなければ完成です。
お疲れさまでした。

YOUTUBEにて巻き動画をアップしておりますが、凡人と仙人の違いを是非観てください。
凡人編http://www.youtube.com/watch?v=2_A3bAwt_t8&feature=youtube_gdata
仙人編http://www.youtube.com/watch?v=EYY1VncpFQo

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by wiretec | 2011-07-15 09:03 | 仙人技

サゲフ?

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 久しぶりに当社内製では最大級の注文が来ました。
いつも東海バネさんの熱間巻きには、男の命を叩き込む迫力で圧巻されますが、弱電バネの当社では画像のバネでもド迫力です。

スペックは材質ピアノ線、線径8mm、外径93mm、長さ282mm、全11巻です。冷間処理ではかなり力のいる熟練作業となっています。
 師匠曰く、「自分がいなくなったらこんなバネの注文は断わりや」と優しくおっしゃられますが、何を情けないこと言うてまんねん!こちらとしても職人気質の端っくれなので、必ず受け継いでみせますので安心しておくれやす。

 端面処理の火花も迫力だが、これがもしステンレスの注文だったら、片面を仕上げるのに砥石の目がすぐ詰まるので、3回はドレッサーを当てないといけなく、とても手間のかかる作業であることを、お得意先様にも認識していただきたい。

 とりあえず最高時間レートの職人の魂のこもった逸品なので、たとえ数を沢山注文いただきましても完全手作業故、なかなかコスト的に融通がきかない、申し訳ない製品でありまする。
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by wiretec | 2011-07-05 17:24 | 仙人技

仙人技

d0248641_14102233.jpgd0248641_14104029.jpg たまに製作依頼がくるのですが、この画像だけを見たらどんな製品になるのか解りづらいですね。
これはバネの両端を内側へ5mmくらい直角に曲げ入れるものなんです。
簡単にいいますと、バネ内径にひっかかりを作るわけです。
総~.5巻きドンピシャで対角線に曲げを入れます。そのためには半巻き以上ずつの座の付いたバネを製作せねばなりません。最終的には1巻き以上は捨てるわけです。この捨てる部分がないと曲げることができません。ステンレスなのにこの線径3mm以上の太さでは、とても材料がもったいない限りです。
見た目直角に内側に曲げるといいましても、実際には画像のとおり折れる寸前まで曲げています。
これで5mmくらいのところを切断すれば、直角に内に入っている感じがお解りいただけるでしょうか。
そしてこれを端面研磨にだしますので、更にすぐ折れそうな感じで仕上がります。
これこそ富士発条線仙術のほんの氷山の一角です。w
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by wiretec | 2011-06-13 16:26 | 仙人技


技術は惜しみなく公開、コツは見て学べ!


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