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秀逸なる連続技

d0248641_912221.jpg ウルトラC級のリングです。
さてどうやって作るのかですが、まず鉛筆状の密着巻きを作ります。

製造業である以上、早く作ることができてこそが商売なので、なかなか若衆では儲けにつながらないのですが、ぜひ一日でも早く上達してほしいものです。

YOUTUBEにて巻き動画をアップしました。凡人と仙人の違いを是非観てください。

凡人編http://www.youtube.com/watch?v=2_A3bAwt_t8&feature=youtube_gdata

仙人編http://www.youtube.com/watch?v=EYY1VncpFQo
d0248641_925039.jpg SUS304線径φ0.26、外径1.5mmの密着巻きをリング状に連結して完成です。このときに内径が26mm±2mmでなければなりません。正直言ってこの±2mmに助けられています。
右前方5時方向に継ぎ目があるのが解りますでしょうか?
d0248641_16222142.jpg 道具はリューターを旋盤代わりに使います。芯金の代わりに真直線を加工したものを取り付けます。

このリューターのスイッチを足でON、OFFを繰り返し巻きスピードを調整します。ここでの回転スピードは、高速モーター故に通常の旋盤とはかけ離れた速度で回転します。

ぜひ動画をいつかはアップしたい連続高速巻きです。熟練者では一本5秒はかかりません。最後は後の画像で説明しますが、勝手にネジリ切れるので連続技を可能としています。
d0248641_16224457.jpg これが通常旋盤巻きでの材料をひっかける爪代わりになります。リューターが回転したままで、この隙間に華麗に一瞬で次の巻き始めの材料を入れれるようになるまで、相当熟練を要します。

この爪に入ったら最後、一瞬で巻きに入りますのでうっかりしていると一本没になってしまいます。また指などがワイヤーに引っ掛かりますと、当然痛~い結果が待っています。

全工程で一番気を使うところではないでしょうか。
d0248641_1623260.jpg 最後の鉛筆の先のようになる場所です。

巻き始めから連続して巻いていきますと、細くなる部分からバネ内径がしだいに小さくなっていきます。そして内径ゼロになったときにネジリ切れるのです。正確にはバネ材なので、折れています。


ここにも折れる瞬間に微妙なコツがあるのですが、数をこなして身体で覚えるしかありません。
そしてまた、リューターは回ったまま次の巻きに入っていきます。
d0248641_935100.jpg 一本出来あがりました。ほんの数秒なのでよく見ていないと、何が起こったのか解らないまま一本完成です。

少しでも気を抜くと均一な初張力を発生させることができません。「やとぎ」のようなものは使わず一切指に皮のようなものをまいて素手で巻きます。

このまま連続して延々作業は続きます。
d0248641_932578.jpg 巻き始めの部分です。当然材料の先端は前回の鉛筆の先部分でネジリ切れています。最後に長さを合わせて、切り捨てます。
連続して爪にひっかけていくため、このようにだらしない巻き始めとなります。
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完璧なまでの巻き終わり先端部分です。
先ほどより紹介していますように、ネジリ切れ(折れる)ているのですが拡大しないと解りません。完全に内径ゼロとなっています。

d0248641_9595986.jpg d0248641_935163.jpg
 最後につなげて終わりです。
・・・ってそんな簡単に終わるわけはありません!

まず連結させたときに内径26mmになるように、全長をカットします。つぎに鉛筆の先を巻き始めの内部に差し込みます。このときただ押し込んだだけでは抜けてしまうのです。

それでネジリながら差し込むのですが、何も考えずにネジリ込むと出来たリングが平面になりません。もうお解りいただけたと思いますが、平面になるように逆にネジッておいてから差し込み、これ以上入らないところでリングとしての平面がでるように作業します。

これがなかなか初心のものには出来なくて、みんな苦労するところです。
最後の最後に引っぱりテストをして抜けなければ完成です。
お疲れさまでした。

YOUTUBEにて巻き動画をアップしておりますが、凡人と仙人の違いを是非観てください。
凡人編http://www.youtube.com/watch?v=2_A3bAwt_t8&feature=youtube_gdata
仙人編http://www.youtube.com/watch?v=EYY1VncpFQo

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by wiretec | 2011-07-15 09:03 | 仙人技

原始的よんどころ

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先日の脱線巻きの荷重調整です。一度製作したバネを常識的には強く出来ないので、強めに作って荷重を弱く調整する作業です。
これも誰ぞ作ったものか、原始的テコ原理ひっぱり機と申しましょうか、当社ではこれしかないのですわ。
大企業バネ屋さんでは量産ゆえに、自動機などを独自で開発されていることでしょう。
弊社など小ロット工場では、これが一番なのです。
最長に引っ張ったときは、もし今外れたらと思うと結構、恐怖感が伴います。
こういう滅多に使わないけれど、先人の作った道具を大事に保管してあるのが富士発条のよいところです。

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by wiretec | 2011-07-08 11:47 | 帳尻合わせ

浮世離れ

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 超絶初張力引きばねの製作です。設計応力を遥かに超えた製品です。
なぜこんな初張力がいるのか解りません。線径、中心径、巻き数で緩和できるものと思いますが、この大きさでないとスペース的に無理ということでしょうか?

 そこで満を持して登場する技術が「脱線巻き」です。初張力は芯金に対して“やとぎ”(材料を芯金に巻きつける道具で誰がそう呼んだのか不明)の角度によって決まります。脱線巻きではその角度が尋常ではないのです。巻き終わりの画像で5~6本分断線して巻いたことがお解りいただけますでしょうか。これで極限のネジリが入り初張力が増すわけです。当然“やとぎ”も脱線巻き専用です。

 お恥ずかしい話ですが、久々の注文だったため巻きのニュアンスを忘れてしまい思い出すのに苦労しました。www

 この“やとぎ”ですがこれだけでホームページのコラムが出来てしまうほど、奥行きの深い道具の一つです。画像のものは、遥か昔に町に加治屋さんがあったころ、頼んで作ってもらったらしいです。これぞ究極の仙人技の一つで、修業中の弟子職人も何本かに一本気に入らない物ができ、より一層気を引き締め製作にあたっていました。
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by wiretec | 2011-07-06 11:03 | 超越技術

サゲフ?

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 久しぶりに当社内製では最大級の注文が来ました。
いつも東海バネさんの熱間巻きには、男の命を叩き込む迫力で圧巻されますが、弱電バネの当社では画像のバネでもド迫力です。

スペックは材質ピアノ線、線径8mm、外径93mm、長さ282mm、全11巻です。冷間処理ではかなり力のいる熟練作業となっています。
 師匠曰く、「自分がいなくなったらこんなバネの注文は断わりや」と優しくおっしゃられますが、何を情けないこと言うてまんねん!こちらとしても職人気質の端っくれなので、必ず受け継いでみせますので安心しておくれやす。

 端面処理の火花も迫力だが、これがもしステンレスの注文だったら、片面を仕上げるのに砥石の目がすぐ詰まるので、3回はドレッサーを当てないといけなく、とても手間のかかる作業であることを、お得意先様にも認識していただきたい。

 とりあえず最高時間レートの職人の魂のこもった逸品なので、たとえ数を沢山注文いただきましても完全手作業故、なかなかコスト的に融通がきかない、申し訳ない製品でありまする。
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by wiretec | 2011-07-05 17:24 | 仙人技


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