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塩梅

d0248641_1734263.jpg 線径の真ん中から45度の角度で削り込みの工程を紹介します。

いきなり若い職人に頼みましても、どれが最善策か解らないので、今回メモっておくことにしました。

熟練職人には日常茶飯事のことなんですけど、簡単なことほど伝授されていないことも、多々あるものなのですね。
d0248641_1743038.jpg 見事な一発研削の完製品を先にお見せします。 老巧熟練の世界では、すべて勘の領域での作業になります。線材の中心も45度の角度も測りません。

こういうことを書いたら品質面での誤解が生じますが、ちゃんと品質管理部を通りますので御安心願います。
d0248641_174572.jpg 砥石はレジノイド系を使います。ステンレスの研削には焼けにくく抜群の作業性が期待できます。

柔らかい砥石なので研削の当て加減に注意を払います。強く当てすぎると砥石自体の真円度にも悪影響を及ぼしかねません。

では、まず右手人差し指をしっかり台座の上に乗せます。この位置は指の当たりで毎回同じ場所の加減を肌で感じ取ります。

しっかりといっても、思いっきりではありません。いつも言っていることですが、強すぎず弱すぎず 「いい塩梅」 の言葉の意味そのものなのです。
d0248641_16381080.jpg いよいよ製品を持ちます。矢印の下に降りている部分の角度が、右縦線と毎回同じ平行になるように持ちます。

ここがズバリ45度研削に決まるところなので、慎重に作業してください。

とは申しましても慎重過ぎも今度は生産数が上がらないにもつながるので、効率面をいつも念頭に置くことが大事です。
d0248641_17144481.jpg 左手を添え、ゆっくりと砥石に近づけます。すべて、いい塩梅で握り押さえてください。

熟練者ほど実は軽い力で作業しています。だから長時間の作業も疲れず苦にならない訳なのです。
d0248641_1714567.jpg ここからが一気にいきます。ここでも強く当てすぎると、早く削れるのですが砥石が痛むのと、製品の研削面が黄色く焼けてしまいます。

これはどちらも良くないので、ここでも師匠に叱られながらちょうどよい塩梅を学びましょう。数をこなすことが上達への早道は言うまでもありません。

砥石の同じ場所で作業しても、そこが凹んでしまうのはどなたでも解りますね。
常に全体均一に使うことが基本です。

一度研削を始めたならば、ここまでというところまで砥石から製品を離してはいけません。
一回で決めなければならないのが、この作業のハイライトなのです。

d0248641_1715777.jpg いかがでしょうか?熟練者の勘の作業は角度、位置共にドンピシャです。
当然、品質管理も一発で通過です。

最初に時間をかけて治具などを作れば、未熟者でも同じようには出来るでしょう。
ここで大事なのは熟練者(師匠)の早さなのです。
通常、ひとつ削るのに3~4秒/個くらいです。
d0248641_17151928.jpg 最後に先ほどの一回で磨り終わらなければならない理由を説明しましょう。

矢印の間を見ていただくと微妙に縦にスジが入っていることに気づきます。
これは2回砥石に当ててしまったため、微妙な研削ズレが生じてしまいました。
当然、品質管理は通りませんので廃棄処分になります。熟練者においては帳尻合わせの技術(要するにゴマカシです)で廃棄を免れることも可能です。

最後の最後で廃棄処分は非常に辛いものです。それまでの工程を知っているものなら尚更です。
こうならないよう今回は 「塩梅」 を学びました。
特急注文の際にいかに自分の塩梅技術を発揮できるかが、バネ玄奘への険しい路なのです。

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by wiretec | 2011-10-12 12:00 | 熟練要領


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